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noririnkoのノリノリ日記

手作り好きな主婦の気ままな日記

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父の遺稿。

実家に帰り、何やかやと母の用事を手伝っていた。

 「二階のお父さんの部屋の引き出しから〇〇を探してきてちょうだい。」

 「うん、わかった。一段目やったよね。」

季節の色紙を壁に飾る時に使う額を母は数枚持っている。

父の部屋にある整理ダンスの一段目にそれらを入れているのは知っていた。

これから飾ろうとしている色紙に合う額を選んでいると、

その引き出しの奥の方に白い紙がある事に気づいた。

(何だろう?)

引き出してみると、何かの広告の裏に父の字で書いてあった。

IMG_2471.jpg

どうしてこんな所に入れてあるのか?

誰が入れたのか?

引き出しの中で、上に色々なモノを置かれて紙には折り目がついていた。


父は11歳ぐらいの頃から、「ちゃんと絵の勉強をして描きたい」と思っていたと、聞いたことがある。

しかし、戦争で父(私からしたら祖父)を亡くし、残された母(祖母)が女手一つで苦労して子ども3人を育てたとも聞いていた。

兄が二人いたが、若くて事故や病で亡くし、父は家族を支える責任感を強く抱いていたのだろう。

建築設計の道を進み、ビルや施設の設計に携わる仕事についた。

昭和の高度経済成長期を支えた年代だ。

仕事は常に忙しく、帰りもいつも遅かった。

私が小学校高学年の頃、父が思いたって「油絵具セット」を購入した事を覚えている。

仕事の合間に、「やりたい事」を始めるつもりだったのだろう。

しかし、それを父が使う時間はなく、中学生になった(興味津々の)私のおもちゃになってしまった。


父が絵を描けるようになったのは、定年後だ。

働ける年まで働き、とうとう引退となると、地域の「絵手紙サークル」に入会した。

油絵ではなく、「絵手紙」を選んだ理由はわからないが、

何十年もの願いを叶え、がむしゃらに描いていた父の姿が思い出される。

「はがき」の大きさの紙の中にある世界の奥深さに

父は悩み、苦しみながらも、楽しんでいたのだ。


何かのチラシの裏に書くなんて、昭和の人らしいと微笑んでしまう。

(いつ書いたのだろう?)

癌の再発を宣告され、入院が決まり、もしかしたらもう家にはもどる事が叶わないと思った時か?

長年の夢を実現させて、父はきっと嬉しかったのだろう。

ひたすら大きい「やって」の文字に父の思いが偲ばれる。

まだまだ、やりたかったのかも⋯⋯⋯


胸がいっぱいになった私は、その紙をもとどうりの場所にもどし、母にも何も言わないでいた。

もうしばらくの間、父の思いをこの部屋のこの引き出しの中に置いておきたかった。

おそらく母は知っているかも知れない⋯⋯

父が亡くなってから10年の月日がながれている。
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Comment

NoTitle 

なんか、とってもジーンときました。
親世代の人って、生活のためにいろんなことを諦めて、やっと豊かな老後を手に入れて・・・
長生きしてほしかったね。
10年たっても親の事を思い出すと切ないね。
  • posted by フジカ 
  • URL 
  • 2017.07/24 21:52分 
  • [Edit]
  • [Res]

フジカさんへ 

ありがとう!
思いがけず見つけた紙⋯⋯
色んな事を思い出し、考えました。
年をとって頑固さが増した父とはあまり話す事も
少なかったけど、
「絵手紙」や「絵を描く事」についてもっと話を聞いていたら
良かったかな⋯⋯なんて思いました。
(そう思う頃にはいないんですよねえ)

母とは後悔しないようにすごしていきたいと思っています。
  • posted by noririnnko 
  • URL 
  • 2017.07/26 00:05分 
  • [Edit]
  • [Res]

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noririnko

Author:noririnko
保育士をしながら好きな事を楽しんで、元気に生きる、
超前向き主婦です。
気ままに、手作り作品を載せたりしています。

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